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冠動脈造影検査

いつも通り、最初に関連する基準値を置いておきます。

個人的には、基準値はググればOKだと思っていますので、頑張って覚える必要はありません。

今は見なくていいよー、という方はスルーしてください。

「冠動脈造影検査」に関する基準値
冠血流量 75〜80ml/100g/min
心拍出量の5%程
※運動負荷時では約4倍まで増加する
FFR FFR 0.80以上:有意狭窄なし
FFR 0.75〜0.80:要検討
FFR 0.75以下:有意狭窄あり
狭窄率 75%以上で治療対象

「ザックリ」説明

 
ドクター先生
今日は「冠動脈造影検査」について解説するよ!
 
 
ナース看護師
冠動脈って、心臓に酸素を届ける血管ですよね。
 
 
ドクター先生

さすが、よく知っているね!

その冠動脈にカテーテルという細い管を通して、血管の様子を撮影する検査のことなんだ。

 
 
ナース看護師

カテーテルを使うんですね!

「心臓カテーテル検査」と何が違うんですか?

 
 
ドクター先生
冠動脈造影検査は心臓カテーテル検査の一つなんだ。
 
 
ナース看護師

そうだったんですね!

そういえば何で冠動脈造影検査をしているのか、あまりわかってないかもです。

もっと冠動脈造影検査について教えてください!

 
 
ドクター先生
じゃあ、一緒に詳しく見ていこうか!

「シッカリ」説明

冠動脈造影検査を理解するために必要な前提知識から説明していきます。

説明するのは以下の2つです。

・冠動脈

・造影検査

 

最低限をサクッと説明しますが、もっと詳しく知りたい方はそれぞれのリンクから先にご覧ください。

 

冠動脈とは

冠動脈は「冠状動脈」とも言われる、心臓の周りを覆うように存在する血管のことです。

心臓から出たすぐの部分から二手に分かれて心臓に流れていきます。

冠状動脈(簡易)

冠状動脈のもっとも重要な働きは、常に拍動を続ける心臓に対して血液を流し、酸素を届けることです。

しかし、何らかの理由により冠状動脈一部が流れにくくなると、その流れにくくなった部分より先の心臓は充分な酸素を得ることができず、最悪の場合細胞が死ぬ「壊死」に至ってしまいます。

このような状態を「狭心症」や「心筋梗塞」と言います。

 

造影検査とは

心臓の血管や内部をカテーテルを使用して検査、測定を行うことを心臓カテーテル検査と言います。

心臓カテーテル検査の種類は多岐に渡りますが、その中でも特に血液が通る部分の「形」を確認することに特化したのが「造影検査」です。

体の外部から、血管や臓器などの形を確認するために使用されるのが、X線と呼ばれる電磁波です。

「レントゲン」と言えば分かりやすいでしょうか。

通常、レントゲンには血管や臓器といった水分を含んだものは映ることはありません。

そこで使用されるのが、造影剤です。

造影剤はX線を透過しない成分で構成されるため、血液で希釈される数秒の間だけ、血管の形や心臓の内腔をX線で確認することが可能になります。

健康診断で胃や食道などの検査をする目的で「バリウム」を服用することがありますが、それも同じ理由です。

バリウム

冠動脈造影検査で使用される造影剤は、極力人体への影響が少ないものが使用されますが、それでも腎不全などの副作用が発生する可能性がありますので、使用は注意して行う必要があります。

以上のことを踏まえ、冠動脈造影検査について説明していきます。

 

冠動脈造影検査とは

心臓カテーテル検査のひとつであり、冠状動脈に造影剤を注入して形状を確認する検査のことを「冠動脈造影検査」と言います。

実際の冠動脈造影検査では、局所麻酔後に腕もしくは足の動脈からカテーテルを挿入し、そこから血管を辿って冠動脈までカテーテル移動させていきます。

冠動脈到達後はカテーテルを通じて、造影剤を冠状動脈内に注入することにより、冠状動脈の形状をはっきりと撮影することが可能になります。

冠動脈造影

 

冠状動脈造影検査の目的

冠状動脈造影の目的は、

冠動脈の形状に問題ないかを確認すること

です。

この検査を行うことで、今後の治療を行う上での指標にすることができます。

例えば狭心症などの、ある一定上の負荷で症状が出るといった疾患に対して「治療が必要かどうか」の判断は非常に難しいです。

そこで、実際に血液の流れを観察することで、どの程度の重症度なのかを誰にでも分かるようなります。

Coronary狭窄

しかし、冠動脈造影検査だけでは情報が不十分であることが多く、判断が難しい部分に関しては同時に「血管内超音波検査」や「FFR」といった検査も行うことで、より正確に治療の方針を判断することができます。

ちなみに、外科的な治療が必要なほど冠動脈内部が狭くなっている状態を「有意狭窄」と言います。

 

冠動脈造影検査のリスク

冠動脈造影検査のリスクは非常に少なく、多くの場合は検査後1日以内に退院することが可能です。

しかし、カテーテルを挿入する侵襲的治療ですので、大動脈解離や出血、不整脈、塞栓症、感染などの心臓カテーテル検査で起こり得るリスクを伴います。

また、造影剤を用いることによる以下のようなリスクも考慮しなければなりません。

・腎障害

・アレルギー、アナフィラキシー様反応

・不整脈

これらの合併症に対してはその兆候を見落とさず、迅速に対応することが重要です。

 

冠動脈の名称は覚えるべきか

結論からいうと、循環器内科(特にカテーテル室)に携わる医療従事者であれば、覚えておくべきです。

特に今回紹介した冠動脈造影検査などは、冠動脈が映るのは造影剤を投与した後のほんの数秒しかありませんので、映った冠動脈が直感的にAHA分類何番もしくは名称がわかるようになっておくと、術式の流れが把握できるので色々な事が見えてきます。

最初は取っ付きにくくて大変ですが、いつも決まった見方しなしないので、早めに覚えてしまうのが得策です。

 

まとめると

 
ナース看護師

つまり、冠動脈造影検査は

心臓カテーテル検査の一種

X線と造影剤で血管の形を確認する検査

治療が必要な冠動脈狭窄があるかどうかを判別する検査

なんですね!

 
 
ドクター先生

よかった。

冠動脈造影検査とはどういうものか、理解出来たみたいだね。

また分からないことがあったら遠慮なく聞いてね。

 
 
ナース看護師

分かりました!

ありがとうございます!