「ザックリ」説明
ドクター先生!
意識レベルって業務でよく使いますけど、正確にはどういう意味なんですか?
意識レベルっていうのは、
「 意識障害の程度 」
を表す言葉だね!
意識障害って意識がなくなる状態のことでしたっけ?
正確には、意識障害は「 意識が清明ではなくなること 」だね。
意識が無くなっていなくても、いまひとつハッキリしない状態の場合は、意識障害があると判断するんだ。
そうなんですね!
でも意識障害の程度なんて、パッと見ただけではわかりませんよね?
どうやって判断するんでしょうか?
いいところに気がつくね!
ナースちゃんの言ったように、見ただけでは意識障害を判別することが難しいから、「JCS」や「GCS」といった評価方法が考えられてきたんだ。
JCSとGCSって意識レベルを確認するものだったんですね。
もっと詳しく意識レベルについて教えてください!
じゃあ、JCSやGCSも含めて詳しく見ていこうか!
「シッカリ」説明
意識レベルとは
意識レベルとは、意識障害の程度を言い換えたものです。
すごく簡単に言うのであれば、
「意識どのくらいハッキリしていますか〜?」
ということです。
人体の最も基礎的情報である「バイタルサイン」の一つにも入っているくらい、医療において重要な要素と考えられています。
意識障害が重度の場合を
「意識レベルが低い」
と表現します
しかし、意識障害がない場合を「意識レベルが高い」とは言いません(聞いたことがない)。
意識障害がない時には、
「レベルは問題ない!」
「意識は大丈夫」
と言った風に伝えるのが自然です。
意識がハッキリしない(意識障害がある)と言っても、その程度によって段階があります。
意識障害がない状態を「意識清明」と言い、これがシッカリと目覚めた後の状態に当たります。
一般的な健康的な人は、ほぼこの状態に当たります。
逆に、最も深刻な意識障害の状態を「昏睡」と言います。
昏睡は、揺すっても体に痛みを与えても全く起きない状態を指します。
この意識清明と昏睡の間には「明識困難」「昏蒙」「傾眠」「嗜眠」「昏迷」の細かい状態が存在します。
しかし、意識レベルの確認で
「うん、この状態は嗜眠ですね」
と言っても
正直誰もわかりません。
寝起きの時とシッカリ目が覚めた後では、後者の方が意識がハッキリしているとは思いますが、
どこまでが寝起きの状態なのか、
どこからがハッキリしている状態なのか、
ということは周りから見ても判断が難しいかと思います。
そのため、これらの意識の状態をわかりやすく分類するために、「JCS」と「GCS」という意識障害を分析するための基準を使用して判断します。
「意識レベルの確認」というのは
「JCSとGCSの二つを使って意識を評価すること」
と考えて間違いありません。
患者の意識レベルを他人に伝えるときも、先ほどのような「傾眠」や「昏迷」と言った表現は使わず、JCSとGCSの2つで評価した得点を用いるのが普通です。
意識レベルの評価方法
意識レベルの評価方法は「JCS」と「GCS」のどちらか、もしくは両方を使用するのが一般的です。
使い分けに関しては意見の分かれるところですが、施設や医師の方針によっても違ってきます。
それぞれ、どのようなものかだけでも理解しておきましょう。
絶対に抑えておきたい点が、
・ JCSは最高300点で、より低い得点の方が重症
・GCSは最高15点で、より高い得点の方が重症
ということです。
日常的にJCSとGCSを使用しない方でも、この2点は間違えると
全く逆の意味になってしまいます
ので、抑えておきましょう。
JCSとは
JCSはJapan Coma Scaleの頭文字を取ったもので、意識障害の程度を分類するために使用されます。
ジャパン・コマ・スケールと発音します。
ざっくりと訳すると、
「日本の(Japan)」
「昏睡の(Coma)」
「目安(Scale)」
といったところでしょうか。
対象となる患者の意識が
「 どのくらいはっきりしているか、もしくはしていないのか」
と言うことを簡単に評価して、表現することができます。
GCSとは
GCSはGlasgow Coma Scaleの頭文字を取ったもので、
「どのような意識障害があるのか 」
を分類するために使用されます。
グラスゴー・コーマ・スケール と発音しますが、全部はっきりと発音することは滅多にない(というよりしない)ので「GCS」とだけ覚えておけば大丈夫です。
ざっくりと訳すると、
「グラスゴー(大学)が考えた(Glasgow)」
「昏睡の(Coma)」
「目安(Scale)」
です。
グラスゴーの部分はこの評価方法を考えた大学から来ていますが、「グラスゴー大学が作ったんだなあ」くらいの認識で大丈夫です。
対象となる患者の意識が
「どのような状態であるのか 」
と言うことを評価して、分かりやすく表現することができます。
JCSとGCSの違い
JCSとGCSのどちらを使用するか、ということ関しては施設だけではなく、医師によっても分かれるところです。
JCSの方がパッと評価できるため、日常的によく使われている印象です。
JCS
0 | 意識鮮明 | |
I.覚醒している | 1 | 今ひとつはっきりしない |
2 | 日時や場所、人物がわからない | |
3 | 名前、生年月日がわからない | |
II.一時覚醒する | 10 | 呼び掛けで目を開ける |
20 | 大声で呼び掛けたり、揺すると目を開ける | |
30 | 痛み刺激を加える、揺するなどを続けてかろうじて目を開ける | |
III.覚醒しない | 100 | 痛み刺激に対して、払い除けるなどの動作をする |
200 | 痛み刺激に対して、四肢を動かしたり、顔を顰めたりする | |
300 | 痛み刺激に対して、全く反応しない |
GCS
E:開眼反応 | V:言語反応 | M:運動反応 | |||
4 | 開眼している | 5 | 時、場所、人が言える | 6 | 指示に従って動く |
3 | 呼び掛けで開眼 | 4 | 時、場所、人が言えない | 5 | 痛み刺激を与えた位置に動く |
2 | 痛み刺激で開眼 | 3 | 発言が支離滅裂 | 4 | 痛み刺激を与えた部位を引っ込める |
1 | 開眼しない | 2 | 意味のない発声 | 3 | 四肢の異常屈曲 |
1 | 発声が見られない | 2 | 四肢の異常伸展 | ||
T | 気管挿管している(Tube) | 1 | 痛み刺激でも全く動かない |
※Tの得点は1とする
しかし、JCSでは
「 どの程度意識障害があるか 」
ということは簡単に表すことができますが、
「 どのような意識障害があるか 」
と言うことを表すことはできません。
ですので、どのような意識障害があるか、と言うことを表現する時にはGCSを用います。
イメージとしては、
GCSは「意識障害の種類」 を、
JCSは「意識障害の程度」 を表す、
といった感じでしょうか。
ですが、あくまで使い分けに関しては施設の方針や医師によります。
「この時は絶対にGCS!」もしくは「この時は絶対にJCS!」とは言い切れませんので、注意してください。
JCSはJapanと言うくらいなので日本で用いられる評価方法ですが、GCSは世界レベルで用いられる意識障害の評価方法です。
口頭だけではなく、カルテなどでもよく記載される情報ですので、JCSもGCSも「何点であれば、大体どのような状態なのか」は分かるようになっておくと安心です。
まとめると
つまり、意識レベルは…
・ 意識障害の程度のこと
・ 意識レベルはJCSとGCSを用いて表現する
ということですね!
その通りだね!
これで意識レベルについては理解出来たね。
また分からないことがあったら遠慮なく聞いてね。
分かりました!
ありがとうございます。