- ガイドライン」に関する基準値
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今回は「ガイドライン」について解説するよ。
ガイドラインって、あの難しそうな文章ですよね…
実はまだ読んだことないんです。
どんなことが書いてあるんですか?
ガイドラインには
「この方法で診療、治療していくのが今の標準だよねっ」
ということが書かれているよ。
そうだったんですか!
じゃあ絶対ガイドラインを守らなければいけないですね!
そういうわけではないんだ。
今はこれが正しいと考えられている、ということが書かれているだけで
「絶対にこうしなければいけない」というものではないんだ。
使い所を見極めるのが難しそうですね。
一応、読んだ方がいいんでしょうか?
じゃあそれも含めて詳しく解説していこうか!
ガイドラインの意味
ガイドラインとは、
科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文章
の事であり、医療における治療や診断の指針の一つとして使用されるものです。
科学的根拠、とは何千何万という研究結果から得られた知見のことです。
医療の世界では医師を中心としたさまざまな分野の方々が研究や症例報告を行っていますが、日常業務と並行してそれら全てに目を通すのはほとんど不可能です。
そこで、ガイドラインの出番です。
数多くある研究や発表を、それぞれの専門家達が集まって議論し、有益なものをまとめたものがガイドラインです。
その分野における教科書的な存在ですね。
ガイドラインの種類
ガイドラインは、さまざまな研究や発表をまとめたものである、と説明しましたが、そのまとめ方により大きく2種類に分けることができます。
教科書の様にその分野に関して網羅的に記載したものと、医療の現場で遭遇する課題に対してQ&A方式で回答する「クリニカルクエッション形式」のものが存在します。
特にこのクリニカルクエッション形式(以下CQ形式)を見かけることが多いです。
CQ形式はほとんどの場合、PICOと呼ばれる流れに沿って記載されています。
PICOは以下の頭文字を取ったものであり、以下のように表すことができます。
P | 誰に、どんな問題に | Patients、Problem、Population |
問題の提起、対象者の説明 | ||
I、E | どのようなことをしたら | Interventions、Exposure |
介入、治療方法もしくは暴露 | ||
C |
(誰と、何と、いつと) 比較して |
Comparisons |
比較対象、比較方法 | ||
O | どうなったか | Outcomes |
結果 |
一見難しく感じるかもしれませんが、要するに
「〇〇な人や、〇〇の問題に(P)」
「〇〇ような事をしたら(I、E)」
「〇〇と比較して(C)」
「〇〇になった(O)」
という至ってシンプルな構成になっているという事です。
ガイドラインの利点
ガイドラインの最大の利点は、その分野の専門家ではない医師や、医療者、一般の患者などにも、推奨される治療がどのようなものであるかを理解することができるということです。
昔は病院や医師によって治療方法や診断が分かれていましたが、ガイドラインの存在により、どの施設や医師でもある程度均一な治療、診断を受けれるようになったことも利点の1つです。
ガイドラインの注意点
ガイドラインの作成は、科学的根拠(EBM)に基づいて作成されることが望ましいとされていますが、すべてがEBMの考えに準じているわけではなく、また治療方法を強制するものでもありません。
ガイドラインを起点にして適切な治療を考え、患者の意思を尊重して治療方針を決めていくことが重要です。
ガイドラインは読むべきか
結論として、自身が携わる分野のガイドラインは最低限目を通してくべきです。
なぜなら、日々進歩していく医療の信頼できる情報を手軽に手に入れられるツールだからです。
内容は専門的で、簡単では無いことも多いので、一読するだけでも勉強になるかと思います。
また、情報を正しくアップデートできるという点も、読むべき理由としてあげられます。
「昔の常識、今の非常識」といったように、医療の世界では少し前の知識や情報がどんどんと古いものになっていきます。
毎日新しい論文や研究に目を通すのは大変ですが、数年に一度くらいはガイドラインに目を通しておくと、新しい情報に取り残されにくくなるかと思います。
しかし、ガイドラインを絶対に順守するのではなく、読んで付けた知識を基に適切な治療を考えることが重要、という点は常に頭の置いておいてください。
まとめると
つまり、ガイドラインは
・様々な研究から作られた、各分野の教科書的存在である
・作成の目的は、最新の標準治療などのに関する情報を現場に行き渡りやすくすることが診療の質を保つために重要
という事ですね!
その通りだよ!
これでガイドラインについては理解できたね。
また分からないことがあったら遠慮なく聞いてね。
分かりました!
ありがとうございます!