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【心電図を読む前の】心臓の構造

「ザックリ」学ぶ医療の教科書シリーズ!

 

 
ドクター先生

前回で「心電図ってなに?」ってことが分かったかな。

 

 
ナース看護師

はい!

今回は心電図の読み方について教えてもらえるんですか?

 

 
ドクター先生

そうだね!っと言いたいところだけど、先に

心臓の構造

について少し勉強しようか。

 
ドクター先生

ナースちゃんが言った通り、心電図は「心臓」の電気を見るものだからね。

 

 
ナース看護師

確かに、心臓がどんな構造なのかを知らないと、何を見ているか分かりませんもんね。

お願いします!

【まず知っておこう!】心臓の働き

心臓は一人にひとつずつ備わっている臓器です。

人に心あり

その最大の特徴は、 全身に血液を送り出す「ポンプ」として1日も休まずに動き続けている ことです。

1日に約10万回もの収縮と拡張を繰り返しています。

 

心臓は 拡張することで心臓内に血液を充填 し、 収縮することで溜めた血液を一気に全身に押し出します

拡張期と収縮期

この拡張と収縮の一回で送り出させる血液の量を「 一回拍出量 」と言い、1分間拍出された血液の合計を「 心拍出量 」といいます。

 

この2つはよく使いますので、ぜひ覚えておきましょう。

一回拍出量 1回の拡張と収縮で血液を押し出す量。 約 60〜80 mL
心拍出量 1分間の一回拍出量の合計。 約 3〜5 L

ちなみに 心電図の1波形は一回の拡張と収縮を表しています

 

心臓が送り出す血液には2種類あります。

酸素を多く含んだ「 動脈血 」と二酸化炭素を多く含んだ「 静脈血 」です。

心臓は動脈血を全身に、静脈血を肺にそれぞれ別に送っています。

循環

肺に送られた血液は動脈血に変わり、再び心臓に戻ってきて全身に送られます。

そして、全身に送られた血液は酸素を細胞に渡し、二酸化炭素を回収して静脈血になって心臓に戻ってきます。

 

この一連の流れを「 血液循環 」や単に「循環」といいます。

 

このように、心臓は血液循環の中心となっています。

 

【カンタン!】心臓の基本的な構造

心臓は肺と全身に血液を送り分けていました。

では、心臓の内部はどのようになっているのでしょうか?

心臓の内部

ザックリと描けば、心臓の内部はこのように 四つの部屋 に分けることができます。

それぞれの部屋を仕切っているものを「 」といい、心臓が収縮した際に血液が逆流するのを防いでいます。

 

右心房と右心室をまとめて右心系 と呼び、 左心房と左心室をまとめて左心系 と呼ばれます。

 

右心系が静脈血を肺に送り、左心系が動脈血を全身に送ります。

一連の流れを確認しましょう。

循環の流れ

この血液の循環を作り出しているのは 心臓の拡張と収縮 です。

 

しかし、心臓に対して

「収縮して!」

と指示を出しているのは「 電気による刺激 」です。

 

心臓を動かすために電気刺激を伝えるための仕組みを「 刺激伝導系 」といいます。

 

心臓の筋肉と普通の筋肉【何が違う?】

右手を動かしてください

と言われたら、ほとんどの方が問題なく動かすことができると思います。

これは、脳から「右手を動かせ!」と 筋肉に電気を使って指令を送っている からです。

脳からの指令-

 

しかし、心臓に対して「 心臓止まって !」や、逆に「 もっと早く動いて !」と指令を送ることはできません。

 

自分の意思で動かすことができない筋肉のことを「 不随意筋 」といいます。

逆に、自分の意思で動かすことが出来る筋肉を「 随意筋 」といいます。

 

心臓だけではなく、胃や腸といった臓器のほとんどが不随意筋です。

 

この不随意筋の中でも、心臓は特別です。

 

心臓の筋肉だけは、 自ら電気を発生させて収縮する ことが出来ます。

これが、心臓が止まらずに動き続けている理由です。

 

この自ら動き続ける能力のとこを、「常に自動で動く能力」と言うことで「 自動能 」と言ったりもします。

 

【電気の通り道】刺激伝導系ってなに?

心臓が自ら動く時、まず初めに「 洞結節 」と呼ばれる部分から電気刺激を発生します。

洞結節はいわば、 心臓の司令塔のような存在 です。

洞結節から出た電気刺激は、以下のように通過していきます。

刺激伝導系

この一連の電気刺激により興奮が伝わる過程を「 刺激伝導系 」といいます。

洞結節から出たはすぐさま心臓全体に行き渡ります。

しかし、 伝導速度は一定ではない ことがとても重要です。

刺激伝導系全体で見た時、 ほとんどの部分を電気は素早く通過します

その中で唯一、心房と心室を繋ぐ部分に存在する 「房室結節」では、他に比べて伝導速度がはるかに遅くなります

刺激伝導系の速さ

房室結節で電気が遅くなることで、

心房が先に収縮し、その次に心室が収縮する

という効率的な心臓の動きを作ることが出来ています。

もし房室結節も他の部分と同じ速度であったなら、刺激は一気に心臓全体に伝わり、心房と心室はほぼ同時に収縮します。

こちらでも問題ないように感じますが、心房が収縮して心室に血液を押し込むと言う本来の動き(atrial kick)の方が、 おおよそ20%も多くの血液を拍出することが出来ます

まとめると

 
ナース看護師

心臓の構造は…

4つの部屋に分かれる

肺と全身に、静脈血と動脈血を拍出する

自分では動かせない「不随意筋」である

刺激伝導系によって電気的刺激を発生させている

自分で刺激を出して動く「自動能」が備わっている

ということですね!

 

 
ドクター先生

その通りだね!

心電図は心臓の電気を見ているから、最低限の構造は理解しておこうね!

 

心電図を学ぶ第2弾として「心電図に読む前の心臓の構造」について解説しました。

 

あくまで心電図を理解するためですので、

心臓って大体こんな臓器なんだな〜!

と把握できればバッチリです。

 

次回は、刺激伝導系の流れとともに「正常心電図」を解説します。