「グラスゴー・コーマ・スケール」に関しての基準値は特にありません。
今回、基準値はお休みです。
- 「GCS」に関する基準値
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「ザックリ」説明
ドクター先生!
先生が書いたカルテに「E3V4M6」って書いてあったんですが、どう意味でしょうか?
ああ、それはグラスゴー・コーマ・スケールを表しているものだね
いわゆるGCSってやつだね。
すみません、GCSって何でしたっけ?
GCSは、
どのような意識障害があるかを表す分類
のことだよ!
僕が書いた「E3V4M6」は
E3:呼びかけによって開眼
V4:会話できるけどはっきりしない
M6:こちらの指示通りに体を動かせる
といったことを表しているんだ。
あんな数文字でそんなことを表しているんですね!
いったいどういう風に分類されているんですか?
じゃあ、得点の付け方も含めて詳しく見ていこうか!
「シッカリ」説明
グラスゴー・コーマ・スケールとは
グラスゴー・コーマ・スケールは、
「どのような意識障害があるのか」
を分類するために使用される評価方法のひとつです。
このグラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale)の頭文字を取って、「GCS」ということが多いです。
全部はっきりと発音することは滅多にない(というよりしない)ので「GCS」とだけ覚えておけば大丈夫です。
ざっくりと訳すると、
「グラスゴー(大学)が考えた(Glasgow)」
「昏睡の(Coma)」
「目安(Scale)」
です。
グラスゴーの部分はこの評価方法を考えた大学から来ていますが、「グラスゴー大学が作ったんだなあ」くらいの認識で大丈夫です。
対象となる患者の意識が
「どのような状態であるのか」
と言うことを分かりやすく表現するために存在する分類です。
世界的に使われている分類方法で、日本ではJCSという意識障害を分類する方法と併せて使用されています。
GCSは、複雑で評価が難しいという欠点もありますが、JCSでは評価出来ない「どのような意識障害であるか」というところを詳細に分類できるのが特徴です。
JCSの詳細については以下をご覧ください。
→医療での「JCS」について簡単に解説!
GCSの評価は、
E:開眼
V:言語
M:運動
の三点に分けて、それぞれで得点をつけて行います。
単語で書かれると難しく見えますが、
E:目が開けられるかどうか
V:どのくらい会話できるのか
M:どのくらい体を動かせるのか
ということを確認しています。
これらの3つの合計点が低い方が重症であり、正常な状態では満点の15点となります。
満点といったものの、紹介したように3つの分類に分けての評価ですので、あくまで個人的な印象としては合計点というよりは「E◯点、V◯点、M◯点」や「E◯V◯M◯」という風に各分類ごとに表現されることの方が多いです。
最低点である3点や最高点である15点の場合は、まとめて書いても伝わるため。
GCSの分類
では、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)の意味がわかったところで、評価の方法を具体的に見ていきましょう。
下の表が、GCSの全体像になります。
GCS
E:開眼反応 | V:言語反応 | M:運動反応 | |||
4 | 開眼している | 5 | 時、場所、人が言える | 6 | 指示に従って動く |
3 | 呼び掛けで開眼 | 4 | 時、場所、人が言えない | 5 | 痛み刺激を与えた位置に動く |
2 | 痛み刺激で開眼 | 3 | 発言が支離滅裂 | 4 | 痛み刺激を与えた部位を引っ込める |
1 | 開眼しない | 2 | 意味のない発声 | 3 | 四肢の異常屈曲 |
1 | 発声が見られない | 2 | 四肢の異常伸展 | ||
T | 気管挿管している(Tube) | 1 | 痛み刺激でも全く動かない |
※Tの得点は1とする
自分に当てはめて考えてみると分かりやすいですが、普通に生活している人はほとんどが一番上の項目になります。
・目を開けていることができて(E4)
・普通に会話ができて(V5)
・言われた通りに体を動かせる(M6)
パッと見た感じ全て当てはまる場合が多いかと思います。
これに対して、目を開ける、言葉を発する、体を動かすの3つの内で困難なものがあるごとに点数が減っていきます。
GCSは1つごとに4〜6段階の評価基準があるため、しっかりと評価するのはそこそこ労力を要します。
しかし、GCSで評価することで意識障害の状態を数値化できるため、共通認識として周知することが可能になります。
毎回1から10まで説明せずとも、カルテに「E2V2M4」と書かれているだけで、意識障害の状態に限っては
「あ、この人は痛み刺激で辛うじて目を開けることができるけど、発声はあるけど会話はできない。痛み刺激をすると体は反応するんだな!」
と、大まかに把握することができます。
「こんなのパッと言われても思い出せない!」という人もいらっしゃると思います。
日常的にGCSを使用する場合はシッカリと記憶するしかありませんが、そうでない人は無理に覚える必要はないでしょう。
それぞれの症状がない場合(E4V5M6)の点数だけ覚えておき、それより低くなるごとに重症化するということだけ、わかれば十分だと考えています。
せっかくの評価を、記憶違いで間違えると元も子もありません。
日常的にGCSを使用する場合は覚えておく必要がありますが、あまり使用しない分野に従事している場合は、その都度調べるくらいで問題ないでしょう。
JCSとGCSの違い
JCSとGCSのどちらを使用するか、ということ関しては施設だけではなく、医師によっても分かれるところです。
JCSの方がパッと評価できるため、日常的によく使われている印象です。
JCS
0 | 意識鮮明 | |
I.覚醒している | 1 | 今ひとつはっきりしない |
2 | 日時や場所、人物がわからない | |
3 | 名前、生年月日がわからない | |
II.一時覚醒する | 10 | 呼び掛けで目を開ける |
20 | 大声で呼び掛けたり、揺すると目を開ける | |
30 | 痛み刺激を加える、揺するなどを続けてかろうじて目を開ける | |
III.覚醒しない | 100 | 痛み刺激に対して、払い除けるなどの動作をする |
200 | 痛み刺激に対して、四肢を動かしたり、顔を顰めたりする | |
300 | 痛み刺激に対して、全く反応しない |
しかし、JCSでは
「どの程度意識障害があるか」
ということは簡単に表すことができますが、
「どのような意識障害があるか」
と言うことを表すことはできません。
ですので、どのような意識障害があるか、と言うことを表現する時にはGCSを用います。
イメージとしては、
GCSは「意識障害の種類」を、
JCSは「意識障害の程度」を表す、
といった感じでしょうか。
ですが、あくまで使い分けに関しては施設の方針や医師によります。
「この時は絶対にGCS!」もしくは「この時は絶対にJCS!」とは言い切れませんので、注意してください。
JCSはJapanと言うくらいなので日本で用いられる評価方法ですが、GCSは世界レベルで用いられる意識障害の評価方法です。
この2つがややこしいのが、
・JCSは数値が大きい方が重症
・GCSは数値が小さい方が重症
という点です。
「E2V2M4!」とかであれば、「あ、GCSだな」と分かりますが、「GCS10!」などの両方であり得る数値を口頭で言われると、慣れないうちは混乱します。
口頭だけではなく、カルテなどでもよく記載される情報ですので、JCSもGCSも「何点であれば、大体どのような状態なのか」は分かるようになっておくと安心です。
まとめると
つまり、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)は…
・意識障害の分類のこと
・GCSは数値が小さい方が重症である
イメージとしては…
・JCSは「意識障害の程度」を表す
・GCSは「意識障害の種類」を表す
ということですね!
その通りだね!
これでグラスゴー・コーマ・スケールについては理解出来たね。
また分からないことがあったら遠慮なく聞いてね。
分かりました!
ありがとうございます。