- 「ヘマトクリット」に関する基準値
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ヘマトクリット 男性:40~50%
女性:34~45%ヘモグロビン濃度 男性:13〜16 g/dL
女性:12〜14 g/dL赤血球の大きさ 直径:7〜8 µm
厚さ:約 2 µm
容積:90〜95 µm3赤血球の濃度 男性:490〜550 万個/mm3
女性:440〜500 万個/mm3
今回はヘマトクリットについて解説するよ。
ヘマトクリットってよく聞きますよね。
血液検査の結果に「Ht」とか「Hct」って書いあるやつですよね?
そうだね!
「ヘマト」っていう人もいるよ。
ヘマトってヘマトクリットのことだったんですね!
でも、いまいち意味がわかってないかもです…
ヘマトクリットは、
血液の中の血球成分の割合のこと
だよ!
じゃあそれも含めて詳しく解説していこうか!
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ヘマトクリットとは
血液は「血球」と「血漿」に分けることが出来ます。
血球:血液中の細胞成分
血漿:細胞成分以外の体液成分
ヘマトクリットはその内の血球成分の割合(%)を表しています。
ヘマトクリットが赤血球の割合と表記されることもありますが、正確には「血球成分の割合」です。
しかし、血液中の血球成分のうち赤血球は99%以上を占めているため、
ヘマトクリット = 赤血球の割合(%)
と考えても全く間違いではありません。
血液の分離
ヘマトクリットの検査は、採取した血液を血球と血漿の分離することで血球成分の割合を測定します。
血液を長時間置いておくことで、血漿よりも質量のある血球が沈澱して血球と血漿が分かれます。
しかし、それにはかなりの時間を要します。
そこで、この分離には「遠心分離器」という機器を用いて行います。
血液に遠心力を掛けることで、自然に沈澱を待つよりも早く分離を行うことが可能です。
しかし、遠心分離器を用いても血球のみを完全に分離することは不可能であり、数%の血漿成分が残留します。
ですので、真のヘマトクリット値は測定値の95%程度と考えるのが無難です。
ヘモグロビン濃度との違い
ヘモグロビンとは、赤血球の中に含まれるタンパク質であり、主に全身に酸素を運ぶ役割を担っています。
赤血球はそんなヘモグロビンを中に入れて運ぶ「運送屋さん」のような立ち位置になっています。
ヘモグロビン濃度は、そんなヘモグロビンの血液中での量を表す指標です。
ヘマトクリットと混同されることがありますが、並べてみると全然違うことを指しているのだと分かるかと思います。
ヘマトクリット | ヘモグロビン濃度 |
血液中の血球成分の割合 [ % ] | 血液中のヘモグロビンの濃度 [ g / dl ] |
しかし、赤血球はその内部に存在するヘモグロビンの濃度をおおよそ最大 34 [ g ] / 100 [ mL ] まで濃縮することができ、 そしてそれは常に最大値に近い値であることが知られています。
つまり、ヘマトクリットを34%(約 1 / 3) がヘモグロビン濃度とほとんど同じになります。
逆に、ヘモグロビン濃度の約3倍がヘマトクリットとほぼ等しくなるのです。
もちろん常にこの関係が同じわけではありませんが、実際の現場で片方の値しか見れないことも多々ありますので、そんな時にお互いの関係性を理解出来ていれば、それぞれの値を予測することが可能です。
ヘマトクリットの見方
ヘマトクリットは赤血球の割合と近似できるので、貧血の診断に使用することが可能です。
施設によっても基準値は変化しますが、一般的には成人男性で40~50%、成人女性で34~45%と言われています。
ヘマトクリットは、ヘモグロビン濃度と併せて貧血を診断する指標に使用されます。
ヘマトクリット値が基準値よりも低い場合には、「貧血」の可能性があります。
逆にヘマトクリット値が高い場合には、多血症もしくは脱水などが疑われます。
ヘマトクリットはあくまで血球成分と血漿成分の割合ですので、多血症により細胞成分が増えた場合や、脱水により血漿成分(体液)が減少した場合には高い値を示します。
まとめると
つまりヘマトクリットは、
・血液中の血球成分の割合を表す値
・全身に酸素を届ける赤血球の増減を確認するために使用している
ということですね!!
さすがナースちゃん!
ヘマトクリットはバッチリだね。
また分からないことがあったら遠慮なく聞いてね。
分かりました!
ありがとうございます!
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