- 「血液凝固」に関する基準値
-
血小板 13 ~ 37 [ 万 / μL ] フィブリノゲン 180 ~ 320 [ mg / dL ] ACT 90 〜 120 秒 APTT 20.0~40.0 秒 PT 10.0 ~ 13.5 秒 アンチトロンビンⅢ 80 ~ 130 [ % ] FDP 10.0 [ μg / mL ] 以下 Dダイマー 1.0 [ μg / mL ] 以下
今回は「血液凝固」について解説するよ!
血液凝固って、カサブタが出来たりすることですよね。
医療に関わっている印象はないんですが…
そんなことは全くないよ!
血液凝固は「血液が固まること」という意味なんだけど、色々な治療を行う上で考えなくてはならない要素の一つなんだ。
\ 「血液凝固」を学ぶなら、まずこの一冊! /
血液凝固とは
転んで膝を擦りむいた時に、カサブタになったことはないでしょうか?
カサブタは血液が集まって固まったものであることは、何となく理解できるかと思います。
この”血液が集まって固まる”ということを「血液凝固」と言います。
血液凝固は、血液が体内から失われるのを防ぐために、血液が固まって出血を防ぐ止血機能です。
この血液凝固の仕組みに異常が発生し、血が固まり易くなると血栓症の可能性が、逆に固まりにくくなると大量出血や脳出血の可能性があります。
血液凝固の流れ
血液を止めるための流れは、「一次止血」と「二次止血」の2段階に分けることができます。
詳しく見ていきましょう。
一次止血
一次止血の主役は「血小板」と呼ばれる血液に含まれる細胞です。
まず、血管が傷付くとそこに血小板が集まってきて、損傷した部分を塞ぐように結合していきます。
これを「血小板凝集」と言います。
血小板が集まって固まるということですね。
しかし、この時できた血小板の塊は壊れやすく、不安定です。
そこで、次に紹介する二次止血に繋がります。
二次止血
二次止血の目的は、一次止血で出来た血小板の塊を補強することです。
そのために「フィブリン」と呼ばれる線維状のタンパク質を形成します。
フィブリンの形成には12種類もの因子が関与しており、さらにその経路も2種類に分けられます。
12種類もの因子を覚えるのは大変なのですが、経路については理解しておきましょう。
二次止血の経路は「血管の外から傷ついた場合」と「血管の中が傷ついた、もしくは血管の中に異物が入った場合」に分けることができます。
これらをそれぞれ「外因系」と「内因系」と呼んでいます。
しかし、どちらも同じ「フィブリン」を作るという目的に変わりはありません。
ではその一連の流れを簡単にしたものを見てみましょう。
ローマ数字でのI〜XIIIは「凝固因子」と呼ばれる血液凝固に関与する因子を表しています。
先ほど12種類の因子と言いましたが、このI〜XIIIのうちのVI因子は欠番となっているためです。
最終的に産生されるフィブリン( I )は、単一の状態(モノマー)ですので、たくさんのフィブリンが結合する(ポリマー)ことで、網のような膜を形成します。
その網が血小板の周りを覆い固めることで、二次止血が完了します。
二次止血におけるフィブリンを形成するまでの流れを「カスケード理論」や「凝固カスケード」と言います。
カスケードは滝のことです。
フィブリン形成までの流れが滝の流れのように進んでいくため、そのような名前が付けられています。
線溶系とは
さて、ここまでは血液が凝固する流れについて解説しましたが、血管の中に出来た血液の塊をいつまでも固まったままにしておくわけにはいきません。
そこで、体にはフィブリンの塊を溶かすための「線溶系」という機能が備わっています。
線溶系は、「プラスミン」というタンパク質によってフィブリンを分解して、血の塊を溶かすという働きをしています。
「線溶系」に関する基準値 出血時間 1〜9 分 ※測定方法による APTT 27〜40 秒 PT 凝固時間:10〜13 秒 PT比:0.9〜1.1 PT活性:70〜140 % フィブリノゲン 200〜400 […]
抗凝固療法とは
日常生活では血液が止まらないと困りますが、医療の世界では血が止まらない(固まらない)方が都合がいい場合があります。
そういった場合に行う治療が血を固まりにくくする「抗凝固療法」です。
例えば、体の内部で血が固まり易くなっていると、血液中に血栓と呼ばれる血液の塊が出来てしまうことがあります。
この血栓は血流に乗って全身に運ばれ、血管が細くなる毛細血管などに詰まってしまうと、それ以降の血管に血液が行き渡らなくなり、組織が死んでしまいます。
脳の血管や心臓の血管が詰まると、最悪の場合死に至ることもあります。
そのため、血が固まり易くなっていると判断される場合には「抗凝固」を行います。
抗凝固は先ほど紹介した凝固カスケードの一部を止めることで、血液を固まらない状態にします。
まとめると
つまり、血液凝固は…
・血液が固まることを表す
・血小板による「一次止血」と、凝固因子による「二次止血」がある
・体内には凝固した血液を溶かす機能があり、それを「線溶系」という
・血液を固まりにくくする治療を「抗凝固療法」という
っていったところですね!
その通りだね。
これで血液凝固については理解できかな。
また分からないことがあったら遠慮なく聞いてね!
\ 「血液凝固」を学ぶなら、まずこの一冊! /